民法の勉強

民法総則 抗弁権の永久性、権利失効の原則

伊藤真試験対策講座1 民法総則・抗弁権の永久性 抗弁権の永久性という概念がある。 これは、取消権などの権利は、5年の消滅時効にかかるものであるが、取消権が防御的に抗弁として機能する場合には、時効にかからせるべきではないという考え方である。たと…

民法総則 除斥期間

伊藤真試験対策講座1 民法総則消滅時効と似た制度として、民法には規定がないものの、除斥期間という概念が考えられている。除斥期間とは、法律関係の速やかな確定を目的に設定された純然たる権利行使期間であって、一定の期間内に権利を行使しなければ、権…

民法総則 時効の利益の放棄

伊藤真試験対策講座1 民法総則時効の利益の放棄とは、時効の完成後に、その利益を放棄することを言う。 民法では、時効の完成前には、時効の利益を放棄することができないと定めており(民法146条)、その反対解釈として、時効完成後は、時効の利益を放棄で…

民法総則 時効の援用権者

伊藤真試験対策講座1 民法総則時効は、当事者が援用しなければ、効力を生じない。当事者とは、貸金債権の場合は、債権者、債務者のことをさす。最も、債権者が時効を援用する例は少ないであろうから、債務者が援用することになる。※参考条文 (時効の援用)…

民法総則 時効の効果

伊藤真試験対策講座1 民法総則時効が成立すると、時効の効果は起算日に遡る。債権の消滅時効の場合は、起算日の時点から、債権がなかったものとして扱われるし、取得時効の場合は、起算日の時点から、自分のものであったとされる。 ただし、刑事事件の時効…

民法総則 時効の中断事由 請求

伊藤真試験対策講座1 民法総則時効期間の経過によって時効は成立するが、現在の権利者は、一定の行為をすることで、時効を中断させることができる。時効中断事由は、民法147条に列挙されている。(時効の中断事由) 第百四十七条 時効は、次に掲げる事由に…

民法総則 時効の中断、停止

伊藤真試験対策講座1 民法総則時効期間の経過によって時効は成立するが、現在の権利者としては、ただ、手をこまねいて、時効期間が過ぎていくのを傍観していなければならないわけではない。 時効の中断や時効の停止を引き起こすことが可能である。・時効の…

民法総則 形成権の時効

伊藤真試験対策講座1 民法総則形成権という言葉がある。これは、権利者の一方的な意思表示によって、法律関係の変動を生じさせる権利のことであり、取消権が代表例である。 取消権は、民法126条によって、追認しうるときから5年間、契約のときから20年経過…

民法総則 時効

伊藤真試験対策講座1 民法総則時効といえば、刑事事件などで、殺人罪の時効が成立して、犯人を逮捕できなくなるというような事例をニュースなどでも見かけると思います。 時効が成立するのは、刑法によって、犯罪の種類に応じて、事項が定められているため…

民法総則 期限の利益

伊藤真試験対策講座1 民法総則期限の利益という問題がある。 たとえば、弁済期が1年後という約束で、債権者が債務者に対して100万円を貸した場合。 債務者は、1年後までは、100万円を自由に使うことができる利益を享受することになる。これを期限の利益とい…

民法総則 条件成就の擬制

伊藤真試験対策講座1 民法総則契約等について、条件を設けることがある。条件とは、将来発生するかどうか、不確実な事柄を意味する。 たとえば、 甲が乙に対して、甲の土地の売却を依頼し、乙が2000万円以上で土地を売却できた場合は、特別な報酬として300…

民法総則 条件になじまない行為

伊藤真試験対策講座1 民法総則契約の成立について、将来、到来するかどうか、不確実な事実にかからせる条件を設ける場合がある。たとえば、司法試験に合格したら、土地をあげると約束する場合などがあげられる。 条件については、どのような条件でもよいの…

民法総則 取消とは

伊藤真試験対策講座1 民法総則・取消とは 取消というのは、契約はいったん、有効に成立しているが、契約締結過程で表意者を保護する必要が生じたため、契約を有効にするか取消すかの選択権を与えられている場合である。 取消は、取消権を有するものが、取消…

民法総則 無効とは

伊藤真試験対策講座1 民法総則・無効とは 無効になると、外見上は契約が存在したとしても、効果は生じない。無効の契約については、誰かが無効だと主張しなくても、無効であることに代わりはない。 しかし、民法では、一定の無効の規定について、相手方や第…

民法総則 無効と取消の違い

伊藤真試験対策講座1 民法総則契約が有効に成立するためには、当事者の意思の合致と契約内容が有効でなければならない。 いずれかを欠いている契約は、無効になったり、取消うるものとなる。無効になる場合と取消しうる場合についてまとめると以下のように…

民法総則 契約の有効要件 社会的妥当性

伊藤真試験対策講座1 民法総則契約は自由にできるが、契約として意味を成すようにするためには、契約内容が有効でなければならない。契約内容の有効要件として、確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性について問題となる。社会的妥当性というと抽象的な…

民法総則 契約の有効要件 適法性

伊藤真試験対策講座1 民法総則契約は自由にできるが、契約として意味を成すようにするためには、契約内容が有効でなければならない。契約内容の有効要件として、確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性について問題となる。今日は、適法性についてみてい…

民法総則 契約の有効要件 実現可能性

伊藤真試験対策講座1 民法総則契約は自由にできるが、契約として意味を成すようにするためには、契約内容が有効でなければならない。契約内容の有効要件として、確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性について問題となる。今日は、実現可能性についてみ…

民法総則 契約の有効要件 確定性

伊藤真試験対策講座1 民法総則契約は自由にできるが、契約として意味を成すようにするためには、契約内容が有効でなければならない。契約内容の有効要件として、確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性について問題となる。今日は、確定性についてみてい…

民法総則 契約の有効性

契約は、当事者の意思表示が合致することによって成立するものである。 たとえば、甲と乙が売買契約を締結する場合、甲(買います)→←(売ります)乙甲の買いますという意思表示と、乙の売りますという意思表示が合致して初めて契約が成立する。 これまでは…

民法総則 公法人の不法行為 44条1項と110条

法人の代表者が、自己の権益を図るために権限を乱用して、取引行為的不法行為を行った場合、どのように処理していくかが問題となる。法人 ↓ 甲代表者→←相手方甲代表者が自己の利益を図るために、相手方と取引をした場合。 通常、甲の取引行為は、法人の目的…

民法総則 法人の不法行為責任 外形理論

民法44条1項によると法人は、理事その他の代理人がその職務を行うについて他人に加えた損害を賠償する責任を負う。 では、「職務を行うに付」とは、職務とどの程度関連性のある行為であることを要するのか。 判例は、代表者の行った行為の外形が会社の職務の…

民法総則 法人の不法行為責任

法人の理事が職務を行うにつき、不法行為を行った場合。 法人には、目的の範囲内においてしか、権利能力を有しないとすれば、、不法行為を行うことは通常目的の範囲内ではないので、損害賠償責任も負わないことになる。 しかし、それではおかしいということ…

国税専門官

国税専門官は、税務専門の公務員です。国税局や税務署において,適正な課税を維持し,また租税収入を確保するために,税務のプロフェショナルとして法律,経済,会計等の専門的知識を駆使し,次の3つの業務を行います。第1は,訂正な納税申告が行われてい…

民法総則 理事の代表権の範囲

社団法人の代表者を理事という。 理事は、法人のすべての事務について、法人を代表する。 原則として、理事が、社団を代表するのであって、理事の中の理事長が代表するというわけではない。理事が複数いるときは、理事の過半数で決する。とされている。 対外…

民法総則 法人は権利能力が制限されているのか行為能力が制限されているのか?

法人は、自然人と違い、擬制された存在であるから、権利能力が制限され、法人の目的の範囲においてのみ、権利能力を有することになる。 しかし、目的外の行為については、権利能力がないから、取引が一律に無効になるのでは、取引の安全を害するし、一の自然…

民法総則 法人の権利能力

法人は、擬制された存在であるから、自然人と同様の権利能力を観念することはできない。 法人は、民法をはじめとした法律によって、設立されたものであるから、権利能力については、法令による制限を受けることになるし、目的を持って設立される以上、目的の…

民法総則 権利能力なき社団 構成員の債務と団体財産

今日は、権利能力なき社団に出資した構成員が個人的に債務を負っている場合、債権者は、権利能力なき社団に出資した持分を差し押さえることができるのかという問題です。債権者 ↓(債権) 甲 ↓(出資) 権利能力なき社団たとえば、甲が権利能力なき社団に、…

民法総則 権利能力なき社団 構成員の責任

団体であっても、社団法人や組合のいずれにも該当しない。もちろん、会社法の会社やその他の法人にも該当しない団体を権利能力なき社団という。権利能力なき社団について問題となるのは、構成員の責任である。 権利能力なき社団が相手方との取引において、債…