民法総則 契約の有効要件 確定性

伊藤真試験対策講座1 民法総則

契約は自由にできるが、契約として意味を成すようにするためには、契約内容が有効でなければならない。契約内容の有効要件として、確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性について問題となる。

今日は、確定性についてみていく。
確定性とは、簡単に言えば、契約の目的物が確定していなければならないということである。
たとえば、

甲→←乙

甲が乙に対して、「何かあげよう。」と言い、乙が「もらおう。」と承諾したとしても、何を渡すのか、確定していない。このような、口約束だけでは、契約が有効になったとはいえない。

では、明確に目的物が特定していない契約だと無効になるのかというとそうではない。
たとえば、甲が甲所有の土地を乙に売却することは決定したものの、売買価格が決まっていない場合まで、契約が有効とはいえないとするのは、硬直に過ぎる。
価格が決まっていない場合でも、契約内容は、解釈によって有効と判断することが可能なはずである。

解釈の方法としては3つある。

一つは、当事者が定めている事項の解釈
この解釈では、当事者が意図していることは何かということについて解釈することになる。

たとえば、乙が甲から鉛筆を購入するという契約を結んだ際、
甲としては、HBの鉛筆を買うものと思って納入したものの、乙は2Bの鉛筆を購入するつもりだった場合。
この場合、双方の内心が一致していないから契約は不成立だとすることもできるが、商取引の慣習・取引慣行等を斟酌して、どのように判断するのが合理的といえるのかを解釈することもできる。
HBの鉛筆を納入するのが合理的な解釈だとなれば、契約内容は有効になり、乙の錯誤の問題として、処理されることになる。

二つ目は、修正的解釈
契約内容が、公序良俗や信義則に反する場合は契約内容を修正して解釈することがある。
借地借家関係の紛争で、賃貸人に有利な条項が記載された市販の契約書を用いていた場合に、その条項は、「例文」であって、当事者は、その条項に拘束される医師はなかったとする例文解釈がなされることがある。これが、典型的な修正的解釈である。

三つ目は、当事者が定めていない事項の補充的解釈
契約内容に定めていない事項を補充するための基準としては、慣習や任意規定などがある。

以上のように契約内容を解釈することで、契約に確定性を持たせることも可能である。

以上、今日は、「民法総則 契約の有効要件 確定性」についてでした。